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30代ビジネスマンの備忘録。 マネジメントやマーケティングに関するビジネススキルや、サウナ、ウィスキー、時計などの趣味について。

ADHD気質のある部下の特徴と対応について。

ADHD気質のある部下の特徴と対応について。

 

 

ADHD

英語でAttention Deficit Hyperactivity Disorder

 

  • 不注意性(集中力がない)
  • 多動性(じっとしていられない)
  • 衝動性(考えずに行動してしまう)

 

3つの症状がみられる脳の機能障害であり、発達障害の1つだと言われている。

 

これまでも、ADHDという言葉は知っていたし、もちろん、そのような人がいるということは理解していた。しかし、僕の実務経験上では、上記のような大きく3つの特徴のいずれかを、ちょっとかじった程度の部下にしか接したことがなかった。

 

そして、そのような人でも、周囲のフォローがあれば業務に大きな支障をきたすわけでもなく、ちょっとそちらの気質がある人なのだろう。という憶測程度の軽い捉え方をしてきてしまった。

 

だが、この4月から僕が担当することになった新しいチームのメンバーのうちの1名が、明らかにこのADHDの3つのかなり深刻な症状を持っていることが分かったのだ。

 

この症状については、僕も初めは、察知することができず、徐々に一緒に仕事をしていく中や、メンバーからの相談によって、徐々に明らかになってきたと言った方が良いかもしれない。

 

そして、さらに僕を困らせているのは、本人が「ADHD」であるという証明がないことだ。

 

本人からの申告もなければ、人事部にも記録にもそのような事実は残っていない。

また本人は、既に会社に20年以上勤めるベテランであり、僕の方から医師の診察を勧めることは、それなりに慎重にならなくてはいけない。

 

少しでも言葉選びを間違えてしまうことで、「障害者扱いされた」などと、逆に僕がパワハラとして訴えられてしまう可能性もあるからだ。

 

そのような事情もあり、根本的な解決策を打つことができていないのが現状ではあるのだが、数か月、このような性質の部下を持ってみて必要だと思ったのは、僕自身の「割り切り」である。

 

今回の記事では、この「割り切り」についての具体的対応を考えてみたい。

(ここからは、ADHD気質の本人のことを仮にAさんとする。)

 

 

成果は求めすぎない

 

当初の僕は、Aさんに対して同じ職位のメンバーと同等のレベルの仕事をしてもらわないと困ると思い込んでいた。

 

しかし、実際にそれは非常に難しく、他の人が5分で終わる仕事に30分以上の時間がかかり、その上、仕事内容をチェックすると何個もミスが発見された。

 

これには、チェックを行う担当のメンバーも疲弊してしまい、チーム全体の生産性が著しく低下してしまう事態となった。

 

そこで思ったことは、何もAさんを他の人と同じレベルまで引き上げるのではなく、仕事自体をAさんのレベルまで引き下げてあげる方が、チームの為になるということである。

 

もちろん、他のメンバーから見れば、同じ職位なのに、Aさんだけが非常に難易度の低い仕事を行っていることに、反発を感じるメンバーもいた。しかし、そのようなメンバーには、そこは評価で反映させるという個別の説明を行い、なんとか納得してもらった。

 

改善の期待はしない

 

Aさんに与える仕事のレベルは、出来るだけ落とした。

 

しかし、それでもミスが発生したり、途中で集中力が切れてしまう場面が見られた。

そこでも、僕が大切にしたことは、ミスを減らすことや集中力を持続させることではなかった。そのような改善は一切期待しないことにした。

 

そうではなく、

  • ミスしてしまう仕事はそもそも与えない
  • 集中力が切れてしまうほどの時間がかかる仕事は与えない

 

という形で、仕事のメニューから変えていき、Aさんのベストバランスがどこにあるのかを観察していくことにした。

 

結果、30分区切り程度の単純な入力作業や仕分け作業であれば、ある程度こなせることがわかったし、他のメンバーにとっても、そのような作業をいつでも切り出して発注できることは、重宝されるようになっていった。

 

まとめ

 

 Aさん自身はいつからこのような症状が出ていたのかはわからない。

ただ、後から聞いた話では、これまでも仕事内容や対人関係において問題があり、社内ではお払い箱扱いをされ、様々な部署を転々としながら、特に何の仕事も与えられず過ごしていたという話をきいた。

 

一方で、企業としての、雇用した人間の人材活用という視点では、生産性と社会的責任という両面の観点から、自分の会社に対してまだまだ課題が多いと感じた出来事であった。