【企業分析】「Pring」から学ぶ新しいお金コミュニケーションの仕組み。
電子マネーやQRコード決済による支払いが大きく普及し、僕自身も日常生活の中で現金を使うという機会がほとんどなくなっています。
そんな僕でも現金を使う場面は、2つくらい思い当たります。
1つは、どうしても現金しか使うことができないお店や施設での支払い。
もう一つは、個人間のお金のやりとりです。
例えば、居酒屋での割り勘や友人に少し貸したりするお金です。
今回の記事で分析する決済アプリの「Pring」は、その切り口から人とお金のコミュニケーションを再定義しています。
「Pring」とは?
pring(プリン)は、友達や家族とメッセージを送るような感覚でお金のやり取りができるスマホアプリです。送受金の機能はシンプルで、「お金をおくる」・「お金をもらう」・「お店ではらう」の3種類です。
シンプルな3つの機能とオシャレで使いやすいUIが特徴的で、友達紹介といった口コミを中心に広まっています。
「Pring」のビジネスフレームワーク分析
- 「ターゲット」⇒顧客
- 「バリュー」⇒提供価値
- 「ケイパビリティ」⇒リソース・オペレーション
- 「ビジネスモデル」⇒プロフィット
この4つの切り口から分析を行っていきます。
ターゲット
「すべての世代」
学生から80歳のおばあちゃんまで。すべての世代を意識して、誰にとっても使いやすいユーザーインターフェイスが特徴です。
一般的な金融系アプリと比較すると、アプリ内で使われるワードも極限まで無駄を省いた平易でかみ砕かれたシンプルな表現が用いられるなどの工夫が随所に見られます。
バリュー
「お金コミュニケーション」
サービスのコンセプトでもある無料送金の仕組みを構築して、「お金の通り道のストレスをなくす」というのが、「Pring」が提供する最大の価値です。
乱立する電子決済サービスの中において、
CEOの萩原氏は「Pring」の位置づけについてこのように語ります。
「僕らは『お金コミュニケーション』というこれまでに無かった市場を創りにいっているイメージで、強いていうならメッセージ感覚でお金をおくる・もらうが手軽にできる送金アプリといった位置づけです。」
SUPER CEO:https://superceo.jp/tokusyu/manga/100673
ケイパビリティ
「現金化」
「Pring」が持つ他の決済・送金サービスとの大きな違いとして、銀行などの金融機関以外の業者でも為替取引ができる「資金移動業者」に登録している点があります。
これにより、連携している銀行から、「Pring」アプリにたまったお金を現金化できるのです。
例えば、「Suica」でチャージしたお金を現金に戻すことはできないように、多くのユーザーが持つアプリにお金を入れることに抵抗感という心理に対して有効なアプローチだと言えます。
収益モデル
「決済手数料」
店舗側が負担する決済手数料が0.95%と低いことが挙げられます。
個人間の送金はすべて無料ですが、事業者向けの決済システムを有料で提供しています。
個人事業主、中小店舗を中心に2万店の登録があり、登録店でプリンを使ってQRコード決済ができます。
その際の事業者から決済手数料0.95%が「Pring」の収入となります。
0.95%という数字は、他のQR決済会社の3~4%よりも安い、業界においても低水準です。
また今後、加盟店に対して集客支援機能を付けたり、ユーザーの店舗での購入履歴を提供するといった付加価値創出を狙っています。
まとめ
「Pring」の個人間送金については非常に利便性が高く、いよいよ僕らが現金から解放される未来がすぐそこまで来ていると感じさせられます。
一方、現状において課題を感じるのが、双方でアプリのダウンロードと個人情報の登録をしている必要があるというハードルです。
一般的なテキストコミュニケーションがメールから「LINE」に変わったように、「Pring」がお金コミュニケーションのスタンダードをなりえるのか?を今後も注視したいと思います。