成功者の共通点とは?
「ビジネスで成功している人」、「社会的成功を収めている人」が共通して持っているものがあります。
それは、「全人格的教養」です。
この「全人格的教養」については、「一般的な教養」として挙げられるような知識の集積とは少し性質が異なります。
なぜなら、それは座学によってもたらされる高い学歴や、生まれ持った高いIQとは相関しないものだからです。
どちらかと言えば、もっと泥臭い経験や実践に基づいた「生きた知」によって形成されるものなのです。
今回は、その「全人格的教養」について、『リーダーの教養』を参考にしながら、解説したいと思います。
目次
「生きた知」を獲得する為に必要な3つの姿勢。
型を身に付ける
なぜ型が大切か。
一流の寿司職人が10年間の見習い期間を過ごすことに対して、賛否両論があります。
「寿司の味」という一点だけで見れば、とても効率悪く、熟練職人の握りをプログラミングした機械の方が勝るかもしれません。
ただし、「型」という側面からとらえた時に、10年間の見習いで得られるものは、寿司に対する考え方、そして見える世界の変化といったものがあります。
このように、技術やスキルという言葉では表すことができないものは、無意識のうちに所作の端々に滲み出てくるのです。
それは例えば、一切のムダのない厨房での立ち振る舞いや、お客さんに対する決め細かい気遣いといったことが、一流と二流との大きな差を生むのだと思います。
習慣化で型を身に付ける
型は習慣化によってのみ身に付き、習慣は才能を超える。と筆者は言います。
目指すべきゴールは、体に染みつかせて無意識のうちにやってしまう、という領域まで型を固めることです。
例えば、車の運転も一連の動作をいちいち意識してやるのは初心者で、ベテランドライバーになれば、すべてはほとんど無意識のうちに行われます。
無意識は時として、「頭よりも体のほうが賢い」そんな状態を作ってくれます、
そして、その状態を可能にしてくれるのが型であり、習慣なのです。
言葉を磨く
言葉は「量」<「質」
言葉の質とはどのようなものなのでしょうか。
その答えは、「行動を伴っているかどうか」ということです。
二人の人が事業の撤退案件について同じ主張をしたとします。
A:論理的に正しく、流暢な語り口だが、事業の実務経験がない人
B:言葉が拙くて、ボキャブラリも少ない語り口だが、事業の実務経験がある人。
面白いことに、相手に主張が響くのは、後者のBの主張なのです。
人間は、頭で言葉を理解することはできるのですが、それ以上に視覚情報や経験情報を頼りにします。
Bさんのように、言葉が拙くて、ボキャブラリも少ないことが決して良いことではありませんが、行動を伴っているか、いないかということは口ほどにモノを言うという教訓になります。
言葉に行動を付随させることで、質を高めることができるのです。
言葉は死を招く
言葉によって影響力を持つこともできますが、一方では注意を払わなければいけないこともあります。
それは、一度口に出したことを取り消すことはできないということです。
たった1度の失言だけでも、二度と同じ役職や舞台に立つことができなくなってしまった人は過去に数多くいます。
全く口を閉ざしてしまうことはマイナスにしかなりませんが、冷静かつ、慎重に言葉を選んで発言をすることを忘れてはいけないと思います。
言葉は運命につながる
言葉の持つパワーについて、英国の元首相であるマーガレット・サッチャーは、印象深い言葉を残しているので引用したいと思います。
「考えは言葉となり、言葉は行動となり、行動は習慣となり、習慣は人格となり、人格は運命となる」
人間関係を磨く
学びのない人間関係はない
人間だれしも好き嫌いはあります。
しかし、そのような好き嫌いで人間関係を選り好みしてしまうのは、自分の可能性の幅を狭めてしまうことにもなりかねません。
コミュニティが分散する社会において、好きなもの同士だけが集まりやすい環境にどんどん進んでいます。それに対するアンチテーゼ的な考えを持つことも大切だと思います。
つまり、「気が合わない相手」や「好きになれなそうな相手」からも新しい学びの発見があるということを忘れないことです。
身近な人ほどリスペクトを忘れない。
距離が近くなるほど、コミュニケーションは希薄になるものです。
いつも一緒にいるという安心感にかまけて、ついつい相手の心理変化に疎くなってしまうということは、誰しも経験があると思います。
しかし、いざというときに一番力になって自分を助けてくれるのは、やはり身近な存在である家族であり、友人であり、同じ職場の同僚であるはずです。
そのような身近な関係性の人々に敬意を払うことは、自分にも帰ってくるのです。
上司の立場になって気をつけること。
もしあなたが会社の上司の立場だったら、「できる人」と「できない人」どちらと積極的に関わりますか?
当然、「できる人」をずっとそばにおいておくほうが楽です。
しかし、会社でチームプレイをする上で、大事なことは総合力です。
決して「上司一人」でも、「できる部下一人」でも、大きな成果を出すことはできません。チーム全員の一人一人が通常の1.2倍くらいのパワーを発揮できる状態が最も好ましい状態です。
そのような総合力が発揮できる状態にするには、「できない人」に目配りとサポートをしてあげることが最も大切なのです。
考察
今回紹介した『リーダーの教養』の著者である佐々木常夫氏は東レの取締役を経て、阪大の客員教授として「ワークライフバランス」を推進している存在ですが、書籍の中でも大手企業特有な上下関係や昭和気質な努力論が端々に感じたというのが正直な感想です。
また、僕自身もそのような泥臭い論調は嫌いでなく、むしろやりやすさすら感じてしまうたちです。
しかし、大切なのはそのような泥さ臭さの中から、どのエッセンスを抽出し、これからも活かしていくのか、どれを行動して辞めていくのか、本書で語られる教養はどこまで求められるのか、など自分の判断軸を持ってアクションにつなげていきたいと思っています。