僕は、寡黙なリーダーを目指しています。
それはカッコいいからとかではなくて、
自分が単純に口下手でメンバーを叱咤激励して引っ張っていくタイプではないからです。
上司の中でも、僕が目指しているようなタイプのリーダーはいます。
しかし、ただ単に寡黙な人でもいけないと思っています。
寡黙で何も言わないことで、周りから理解されず、部下が何してよいのかがわからなくて、チームとしてうまく機能していない。
というような状況も見かけます。
一方で、
リーダーが寡黙で何も言わないけど、周囲の理解を得ていて、部下が生き生きと動いて、チームとして成果を出している。
という例もあります。
この違いは、何なんでしょうか。
もちろん、後者のようなリーダーを目指したいと誰もが思うでしょう。
その違いについて、
『一流のリーダーほどしゃべらない』を参考に、
寡黙でも結果を出すリーダーについて言及していきたいと思います。
- 作者:桜井 一紀
- 発売日: 2017/08/18
- メディア: 単行本
リーダーに必要な3つの柱
本書では、「組織の状態」をよりよくするために、リーダーに求められる要素として相関しあう以下の3つがあげられています。
関係構築力
⇒部下に気づかせたり、自発的に考えさせる質問をしている。
⇒部下の強みや得意分野を引き出し伸ばしている。
事業推進力
⇒戦略を推進するための計画立案。
⇒組織の状態を領域ごとに把握している。
組織影響力
⇒組織のビジョンを示している。
⇒仕事における信念を持ち、それを行動に移している。
これまでの業績至上主義の会社では、
「事業推進力」
「組織影響力」
が高く評価されてきていました。
しかし、近年はフォーチューン誌をはじめとしたさまざまな調査でも、
「関係構築力の重要性」が以下のように語られています。
業績評価時のネガティブなフィードバックは、対象者のモチベーションや成績を下げる
今の社員は、かつてのように、上司を「経験を積んだ能力のある先輩」として見ない。
ハイパフォーマーを開発したいなら、上司にはコーチ力と権限委譲力が必須である。
そして、冒頭に疑問にあげた同じ寡黙な上司でも、結果を出せる人と結果を出せない人の違いについては、まさにこの関係構築力が大きく関係していることがわかります。
では、この関係構築力についてさらに掘り下げていきたいと思います。
関係構築力の3つのポイント
「話す」のではなく「聞く」
部下の成長要因を阻害する一番の原因は、
「話させない」ことです。
人間は何かを学習する時、
自分の言葉で話すことで初めて自分のものになるのです。
しかし、この「話す」という行為は職場においては往々にして、
上司の役割のように捉えられています。
上司の指示を部下がじっと黙ってきいているという光景は、
どこの職場でも見られると思います。
上司の立場からすると、伝えたい業務連絡は山ほどあるはずです。
ですが、部下にも上司へ伝えたいことは同じくらいあるはずです。
まずは、部下の話を聞くことからはじめる。
そのように、部下が話しやすい環境を整えてあげることで、
確実に部下の成長になると同時に、聞くことは最大の自己肯定にもつながります。
また、そこで気をつけたいポイントとしては「結論を急がない」。
ということです。
「結論から先に言え!」
という言葉はよく耳にしますが、それは「部下に話をさせたい」状況では間違いです。
職位が立場の人間がそのように急かすことは、
部下からすると、「上司は自分の話を聞く意思がない」というように捉えてしまいます。
自己肯定感の下がった状態では、部下自身が本当に思っている話を引き出すことは難しくなってしまいます。
だからこそ、じっくりと親身に話に耳を傾ける必要があると思います。
「教える」のではなく「考えさせる」
1から100まですべてを教えて指示通りに部下を動かせる上司がいます。
一見、デキる風ビジネスパーソンに見えるかもしれませんが、これもやってはいけない典型例です。
単発の仕事をこなす上であれば、この方法によって短時間でミッションをクリアできるかもしれません。
しかし、多くの仕事は複雑かつ長期的なものになってきています。
当然、一人のリーダーがすべてを把握できる情報量でありません。
部下一人一人が能動的に動いていかないと仕事は回りません。
「教える」だけのリーダーは、思考停止の指示待ち人間を量産するだけです。
「考えさせる」リーダーは、能動的に動いていくチームをつくりあげるのです。
どこまで教えて、どこから考えさせるか?
これが非常にバランスの難しい問題です。
「マネージャー、Aという案件で、〇〇なトラブルが生じています。
どう進めればよいですか?」
という部下からの質問があったとします。
それに対し、
「自分で考えなさい。」
では、あまりにお粗末です。
そうではなくて、ポイントとしては新しい視点を入れてあげる。
ということが大切になります。
トラブルに対して、
- 自社からの視点
- 取引先からの視点
- 顧客からの視点
これらの考えるためのヒントを与えてあげることが重要です。
「自分がいなくても回る状況」をつくる
リーダーが最終目標とすべきがこの状態です。
なぜか?というと、
ワンマン社長が創業の会社は、世代交代ができないで衰退するというジレンマからも説明できます。
強烈なリーダーシップを発揮して、細部に至るまですべて社長が決めているという会社があります。
しかし、その社長が離脱した瞬間に、残された社員たちは何をしてよいのか全くわからなくなるといいます。
これまでは、「社長の指示」という言葉に怯えて無我夢中でやっていた仕事も、
なぜ?それをやらなくてはいけないのか?
何のための指示だったのか?
ということを理解しないままであれば、そのような結果は当然です。
この事例のような瞬発的に強い組織ではなく、
僕らが目指すのは、永続的に強い組織です。
ですから、リーダーは基本的にはフォローに回ることと、
いざというときの責任を取ること。
それ以外は、自分がいない状態で部下に任せていくというスタンスが、会社や組織の成長に必要なのではないでしょうか。
考察
今回紹介した『一流のリーダーほどしゃべらない』を読もうと思ったきっかけは、
「コミュ障でもリーダーシップを発揮できるのかな?」という淡い期待からでした。
しかし、本を読み進めていくうちに、
一流のしゃべらないリーダーというのは、一般的に会話が得意と思われる「よくしゃべる」人よりも、コミュニケーション能力が高いな。と思ってきました。
つまり、
「口数が多いこと」と「コミュニケーション能力」は比例しないということです。
その代わりに、一言に非常に重みがあるということです。
この事実には、勇気づけらた反面、相手の心を動かす一言というのは、
かなりハードルが高いなとも感じました。
僕レベルは、まずは相手の話を聞く中で、すこしずつ「自分の言葉を差し込んでいく」という練習を習慣化していくことからスタートかな?
と感じています。