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30代ビジネスマンの備忘録。 マネジメントやマーケティングに関するビジネススキルや、サウナ、ウィスキー、時計などの趣味について。

【迫俊亮氏】ミスターミニットをV字回復に導いた20代の社長の考え方。

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【迫俊亮氏】ミスターミニットをV字回復に導いた20代の社長の考え方。

 

「ミスターミニット」

どこの街にもある靴や鍵の修理屋さんとして、誰もが一度は見かけたことはあるのではないでしょうか?

 

実はこの「ミスターミニット」は、1972年創業という歴史のある企業ですが、00年代以降は、右肩下がりで業績を低下させていました。

 

そんな「ミスターミニット」ですが、2014年以降に会社の業績はV字回復を見せています。

 

その立ち役者が、キャピタルファンドから派遣された迫俊亮氏です。

なんと、2014年の社長就任時には20代という若さです。

 

そんな迫社長の自伝でもある『リーダーの現場力』は、迫氏がいかにして業績不振に苦しんでいた会社を蘇らせたのか?というストーリーが語られた1冊です。

 

この本から得られることは、決して経営者だけのものではなく、部下を持つ会社員であれば誰にとっても当てはまる普遍的なリーダーシップの要素を教えてくれます。

 

この記事ではその中でも、個人的に特に印象に残った部分を抜粋してご紹介していきたいと思います。

 

迫社長のココがすごい!3つのポイント。

問題発見能力

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迫社長は、元々三菱商事に入社するも半年で転職。マザーハウスというベンチャー企業で、グローバルに働き、そこで自分の経営能力に課題を感じ、経営に携わることのできるキャピタルファンドへの就職を決めたという異色の経歴の持ち主です。

 

つまり、内部からのたたき上げではなく、外部から派遣される形で、社長になったのです。

 

外部から派遣される経営者に対するメリット/デメリットは様々な議論がされるところですが、迫社長のケースでは、それが非常に強みとして働いています。

 

なぜなら、社内のしがらみを抜きにして俯瞰的な目線で会社の状況を見ることができるという点です。

 

当時の「ミスターミニット」は、社内での派閥や人間関係が昇進やポジションに大きく影響するような風土があったそうです。

 

社内だけの目線だと、どうしても「誰に派閥に入るべきか」「誰の言うことをよく聞くべきか」ということに神経が集中してしまい、本質が見えなくなることがあります。

 

しかし、第3者的な俯瞰的な立場で見ることによって、そのような社内風土そのものが問題であるということが見えてきます。そして、迫社長はこの社内風土を変えることから社長としての仕事をスタートさせています。

 

このような、客観的視点から問題特定をするという能力は、人や情報が複雑に入り組んだ現代社会において誰にとっても必要なスキルだと言えます。

 

逆三角形の経営への転換

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経営不振当時の「ミスターミニット」の現場は、日々本社から降りてくる納得感や現実味のない指示や命令に疲弊していたと言います。

 

まさに、本社と現場が大きく乖離した最悪のトップダウン経営が行われていたそうです。

 

現場としては、明らかに成果が見込めそうにない施策に対しても、左遷や降格を恐れて誰も文句が言えない状態が続いていたのです。

 

「ミスターミニット」は、現場が利益を生み出す主戦場である会社です。その現場の士気が大きく低下していることに課題を感じ、迫社長が変更した手法が逆三角形経営です。

 

これは、従来のトップダウンの真逆である、ボトムアップ型の組織です。

 

現場からの声を吸い上げて、経営に反映させる方法です。

 

現場主義によるビジョン設計

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「ボトムアップ経営による現場の声の吸い上げ」というと、いかにも合理的であるかのように聞こえます。しかし、それが簡単にはいかないことも現実のビジネスの難しさです。

 

その難しさとは、現場のメンバーもやりたいこと、やったほうがいいと思うことはあるが、それを上手く言語化できないという課題です。

 

誰もが経営層やコンサルタントのように言語化能力が高い訳ではありません。

しかし、現場メンバーの言語化能力を磨く訓練をすれば良いのか?というと…そうでもありません。彼らはもっと自分たちが磨くべき現場の技術があるからです。

 

迫社長が導き出した答えは、現場メンバーが言語化しやすくなるようなビジョンをつくるということでした。

 

そして、できあがったビジョンが「サービスのコンビニ」という言葉でした。

 

「ミスターミニット」ではそのようなビジョンという基準をつくることで、現場メンバーは自分たちが考えていることは、「サービスのコンビニ」としてふさわしいか?それっぽいか?という思考が回りはじめ、次々と現場起点の新しいサービスが生まれてきたのです。

 

まとめ

ミスターミニットの変革におけるポイントは以下の3つだと感じました。

 

  • 視点を変えて考える
  • 真逆の方法を試みる
  • ビジョンを明確にする

 

これらは当たり前のように聞こえますが、組織として実践するとなると非常に大きな決断だと感じます。

 

この決断が踏み切れずに、地団駄を踏んでいる企業は日本に多いように感じます

経営ならずとも、組織における1チーム、1所属レベルからでも、この挑戦をすることで、仕事において見える景色はだいぶ違ってくるだろうな。と感じています。