「主体性」とは?
ビジネスの世界、スポーツやゲームの世界でも、個人スキルや才能以上に成功を分けるものがあります。それは、主体性です。さらに言うと主体的な行動です。
『7つの習慣』の中でも、主体性は一番目の大切な習慣という形で紹介をされています。
それだけ、主体性というのは重要なことにも関わらず、言葉の抽象度が高く、
わかりづらいですよね。
僕自身も「主体性」という言葉を大きく勘違いして苦い経験をしたことがあります。
その経験を経て、「主体性」という抽象概念は3つの具体的なアクションに分解できることに気づきました。
それは、以下の3つです。
- 考える
- 見る
- 行動する
なぜ、そのように言えるのか?
という点について、僕の入社した小売業での1年目のエピソードを振り返りながら解説したいと思います。
目次
まずは、「考える」ことをしなければ始まらない。
会社では、特に若手のうちは、「目の前のことを全力でやれ!」と言われます。
当時の僕は、「全力で行動すること」=「主体性」だと思っていました。
それが、大きな勘違いでした。
商品の仕入れを担当する部署に配属された僕は、「全力でやる!」という言葉だけを信じて、とにかくタスクをこなすことばかりにやりがいを覚えるようになっていました。
そうすると、ToDoリストを消すことに快感を覚えてくるのです。
すると初めは、周囲からは「あいつは仕事が早い!」などの声もかけられて、気分もよくなって、より一層頑張ってしまいます。
その後半年くらい同じようにタスク消化に邁進していたある日、ふと自分のToDoリストを見返すと、いつの間にか自分が得意で素早くこなせる単純な仕事ばかりが目につきました。
具合的に言うと、僕の得意分野は伝票作成でした。
営業担当の先輩がメーカーと契約した商品の発注を行うための伝票作成です。
とにかく受動的にマシンのように依頼された伝票を大量生産していたのです。
そして、ある日先輩たちの会話の中で「あいつは、仕事の幅が狭いからな。」という声が聞こえてきました。もちろん、僕のことです。
その頃、同期入社のメンバーは、自分で企画を考えたり、発注を取ってきて伝票発行は誰かに依頼している、というような絶望的な差がついていました。
なぜ、このような差がついたのかを考えると、
その原因を「自分で考えること」だと反省しました。
伝票を大量生産している中でも、次のようなことは考えることができたかもしれません。
- どのような発注が多いのか?
- なぜ、多いのか?
- その発注は誰が、どうやって取ってきているのか?
このようなことを考えていれば、いつまでも補佐的な立場に甘んじることなく、営業としてもっと早くひとり立ちできたんじゃないかと思います。
そこからは、そもそもなぜ、この業務自体が存在するのか?何の為にやるのか?
ということから、「自分で考える」ことを始めました。
考えを深める為には、現地現物を「見る」ことが最短距離。
仕事の幅を広げたいと思い、「自分で考える」という意識し始めるものの、なかなか「自分なりにこうしたい!」アイデアはすぐに出てきませんでした。
なぜ、アイデアが湧かないのか?と考えたところ、それはイメージを持っていないから。
ということに気づきました。
そこで実行したことは、「見ること」です。
普段、会社のオフィスにいた僕は、先輩が実際にメーカーとどんな商談をしているかもよく知らなかったですし、自分が打った伝票の商品がどのような流れで店舗に届いて陳列されるかもよくわかっていませんでした。
現地現物で「見る」ことは大きな気づきを与えてくれ、曖昧だったイメージが一気に具体化しました。
- 商談を見ることで、どのような経緯で商品の発注に至るかがわかった。
- 物流センターを見ることで、商品フローがわかった。
- 店舗を見ることで、発注の過多や不足がわかった。
(割と簡単に書いてますが、実際は半年くらいの期間をかけてそれぞれの場所へ足を運び続けました。)
「見た」ことによる気づきを「アクション」へ!
当時の自分の仕事は、営業補佐という役割で大きな決定権は持っていませんでした。
しかし、先輩からの受けた指示を自分なりの考えをブレンドさせて、
- ここの数字はこうしたほうが良いのでは?
- この商品の発注タイミングを少しずらしたほうがよいのでは?
という意思を示すことはできるようになりました。
最初からこんなことを言う後輩はただの生意気なヤツ。という印象しかありませんが、
- 「店舗の現場では実際にこういう声があって…」
- 「先日の商談で先方の営業が言っていたように…」
といった自分がリアルで見聞きした事実を前置きにすることで、反感を買ったりすることはなかったように思います。逆に、説得力を増すことができます。
最後に
このような形で、3つのアクションを通じて「主体性」を発揮することで、時間はかかりましたが何とか同期との差を縮めることは成功し、二年目には営業としての一人立ちも無事できました。
この経験から感じたことは、「思考停止」にならないことです。
その瞬間からその仕事は、<自分のもの>から<誰にでもできるもの>に変わってしまいます。
<自分のもの>にすることで、そこから派生した新たな経験や発見が生まれて、仕事の幅が広がっていくのだと感じています。