「売上、生産性、チームワークを上げろ!」
「でも、予算も人も増やせないし、残業もダメ!」
こんな無茶な要求が上司から降ってくる
現場のプレイングマネージャーは、
多いのではないでしょうか。
これらのことをすべてやり切ることは困難です。
そして、
多くの人が疲弊してしまい、
目標も何一つ達成できず…
上司からの要求はさらに強くなる。
このような負のスパイラルに入っていく。
しかし、解決方法はいたってシンプルです。
それは、「やるべきことだけをやる」ということです。
では、そのやるべきこととは何か。
について『マネージャーの問題地図』を参考にしながら、
3つのポイントに絞って解説をしていきたいと思います。
マネージャーの問題地図 ~「で、どこから変える?」あれもこれもで、てんやわんやな現場のマネジメント
- 作者:沢渡 あまね
- 発売日: 2018/08/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
目次
ビジョンだけあればいい。
ビジョンには、大きく2種類の捉え方があります。
1つは、会社が示す大方針です。
例えば、「我々は未来創造カンパニーになります。」
企業広告などでもこんなフレーズ見かけますよね。
正直、地に足がついておらずあまり現実感がない壮大なものです。
その為、言いたいことはわかるけど、
実際の現場では何をすればいいの?という疑問が残ります。
もう1つは、現場のチーム単位の具体的なビジョンです。
前提として、大方針に従いつつ、
それをブレークダウンすることが大切です。
例えば、
「未来創造カンパニーを目指す」という大方針に対して
我々のチームは、
- 何を大切にするのか?
- どんな振る舞いをよしとするのか?
- 半年後、一年後、三年後どうなっているのか?
という形で具体化するのです。
この時、大切なポイントは、
チームメンバー間の「意識のズレ」をなくすことです。
その為には、それぞれの内容を点で伝えるのではなく、
主に5つの要素から構成される面で伝えることが効果的です。
コミュニケーションさえとっていればいい。
毎日、上司からの依頼や顧客トラブル、
そして問題のある部下の指導。
これらのことに忙殺されるでしょう。
しかしそこで見落としがちなのが、
しっかりと問題なく仕事をこなしている部下とのコミュニケーションです。
頼りがいのある彼ら、彼女らは、ビジョンも共有したし、
あとは自走してくれるだろう。
という期待も含めて、お任せになりがちです。
しかし、それでよいのであればマネージャーは必要ありません。
コミュニケーション不足による弊害は大きいです。
どんな優秀な部下でも、徐々にその弊害が出てきます。
- ナレッジが溜まらない
- 育成できない
- 危機管理不全
結果、持続的な成長につながらない。
ということが言えます。
空いた時間にコミュニケーションをとる。のではなく、
意識的なコミュニケーションの習慣化が必須です。
仕事は部下に任せてしまえばいい。
現場で働くマネージャーは、
現場にいる故についつい細かいところまで目についてしまいます。
しかし、
そのようなことは現場において無数に存在し、
そのすべてを一人でやり切ることは不可能です。
結果、
マネージャーが仕事を抱えてしまうことは、
非効率でしかないのです。
部下に仕事を任せるにあたっての上司がとるべき行動は3つあります。
・こだわりを捨てる。
⇒経験を積んでいるマネージャーほど、
かくあるべきという「べき論」を持っています。
これが、新しいやり方や、部下なりのやり方
を否定してしまうことにつながります。
あえて、自分のこだわりを捨てて、
それらのことを認めて権限移譲するということが、
部下の育成や職場の活性化につながるはずです。
・部下を信用する
⇒権限移譲して任せるためには、
部下を信用できていない状態では、
「本当に彼、彼女にまかせて大丈夫だろうか」
という疑問を抱えたまま、仕事を与えることになります。
この疑問を払拭するためには、
コーチングを通じて部下の心情を理解することが大切です。
コーチングの基本は、「相手に話をさせることです。」
部下本人の口から仕事についての思いや状況を話してもらうこと。
そして、
そこで語られた問題や悩みに対して、
解決策を提示したり
背中を押してあげることで、
部下との距離感は縮まり、信用も深まっていきます。
・仕事の範囲と権限を明確にする。
⇒マネージャーが仕事を抱えがちな理由の一つとして、
仕事に対する認識の違いがあります。
Aという仕事があって、
A-1、A-2、A-3という3つのステップがあったとします。
マネージャーは、こんな淡い期待をしているかもしれません。
「A-2までは部下が進めてくれるだろう。」
しかし、部下はこんな認識をしているかもしれません。
「A-1までで進めれば十分だろう。」
また、「Aという案件はすべてマネージャーの仕事だろう。」
これは、仕事に対する範囲と権限が明確でないことによって発生する齟齬です。
「誰が、何を、どこまでやる」
このような仕事における判断基準を決めることは
マネージャーだけであり、
仕事を円滑に進める上で、大切なプロセスでもあります。
考察
今回はプレイングマネージャーの仕事についてまとめました。
結論としては、自分で仕事をしない人ほど、
デキるマネージャーであるということが言えます。
もちろん、それは結果を出しており、
現場が上手く回っている状態であることが前提としてあります。
「実務能力の高さとマネジメント能力は比例しない」
ということも言えるかもしれません。