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30代ビジネスマンの備忘録。 マネジメントやマーケティングに関するビジネススキルや、サウナ、ウィスキー、時計などの趣味について。

【幸運なる弛緩状態】充実した人生を送る為に向き合うべき5つの課題。

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【幸運なる弛緩状態】充実した人生を送る為に向き合うべき5つの課題。

 

あなたにとって充実した人生とは、

どんなものですか?

 

大過ぎて言葉で表現するのが難しいかもしれません。

 

僕自身もぼんやりとイメージはしていたものの、

同じような質問を投げかけられたら、

その答えに詰まってしまっていたと思います。

 

しかし、ある本との出会いをきっかけに、

「自分の目指していたのは、こういう人生像だ。」

と思える表現に出会いました。

 

それは、「幸運なる弛緩状態」という表現です。

 

これは、イギリスの著述家であり、美術編集者であるP・G・ハトマン氏が、

著作『知的生活』の中で用いていた表現です。

つまり、どういうことかというと、

「本能的にやりたいことをやりながら、

仕事に疲れ切ることはなく、

自分で生活をコントロールしていく。」

そんな意味合いになります。

 

自分もその一人ですが、

このような人生観や生活感に憧れる人は多いのではないでしょうか。

 

この記事では、『知的生活』の翻訳本である『知的生活のすすめ』を参考にしながら、

「幸運なる弛緩状態」を達成するために向き合うべき5つの課題について触れていきたいと思います

 

 1.健康との向き合い方

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ハトマン氏は、すべての基礎として「健康であること」の重要性を訴えています。

人生において最も大切なことであるとも言えます。

そして、健康に人生を送る為のポイントとして、以下の3つをあげています。

 

運動

「健全な肉体には、健全な精神が宿る。」

という言葉がありますが、頭脳的な作業をする場合においても、

肉体的な生活がリンクしてきます。

 

運動をすることで肉体的に健康な時ほど、

頭脳の働きもより明晰に働くからです。

 

睡眠

西洋哲学に大きな影響を及ぼしたイマヌエル・カントが、

1日の中で一番大切にしていたことは睡眠だそうです。

 

それだけ睡眠の質は、健康はもとより1日のコンディションや頭脳の働きを左右する重要なファクターだということができます。

著者であるハトマン氏も、「睡眠に対する自己投資を惜しむべきではない」という言葉を残しています。

 

完全な休息

頭脳的な作業、そして肉体的な運動。

いずれにおいても無理は禁物です。

 

時には、あえて思考を止めて、ただ外のそよ風に吹かれる。

長い人生においてあわてすぎる必要はなく、

そのような安らぎの時間も大切にしなければいけません。

 

2.時間との向き合い方

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時間の使い方が上手い人の特徴としては、

「何をやるか」より「何をやらないか」を心得ているということです。

それを踏まえた上で、3つのポイントをご紹介します。

 

時間の確保

生きていく上では、「どうしてもやらなくていけないこと」がいくつもあります。

 

例えば、睡眠、食事、仕事…

 

これらを1日の時間から差し引いて残る時間に何をするのか。

ということを意識して行動することが大切です。

 

時間の伸縮性

時間は均一に見えて、人によって密度が異なります。

 

同じ1時間でも、

  • フロー状態に入って超集中できた時
  • ダラダラと過ごしてしまった時

両者の体感時間とその成果は大きく異なるはずです。

 

これが時間の伸縮性と呼ばれるものです。

自分の伸縮のリズムを把握して、

最も良いタイミングで、やるべきことをやる。

ということが重要です。

 

無駄な時間を大切にする

ハトマン氏は、以下のような記述をしています。

 

「人間の最高の知恵とは、一見無駄に過ごしているように見える時間にこそ得られるものなのだ。」

 

確かに、僕らが時間のムダだと思っていることをすべてやめてしまうことで、

日常生活が急に貧しいものになってしまうかもしれません。

 

また、毎日限界まで努力して自分をすり減らしている人が、

必ずしも幸せではないように見えることも、同じ理由だと思います。

 

3.金との向き合い方

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人生において、金は必要なものだが、あればあるほど良いというものではない。

という理由について、3つのポイントで解説します。

 

名誉と権力に縛られない 

富を得ることは快楽につながります。

また、それ以外に富がもたらすものは名誉と権力です。

 

これに縛られてしまうと、自分で何かすることよりも、

人に指示をすることに大きな喜びを感じるようになってしまうのです。

 

その結果、金を払って人に何かをしてもらう方が上手くいくだろうという考えに

陥ってしまい、自分で思考することやめてしまうことで、「自分の生きがいややりがいを見失ってしまう」という悲惨な結末が待っています。

 

金目当てになってはいけない

目先の金を追いかけてしまうことは、

自分を消耗することにもつながります。

 

つまり、そのようなことで得らえるお金というのは、

自分自身の時間や労力、信頼を切り売りしなければいけないものだからです。

 

短期的な利益を追うことで、

長期的な自己実現の大切なリソースを失ってしまうリスクに

気をつけなければいけません。

 

経済的不安定は、精神に悪影響を及ぼす

金がなさすぎることも問題です。

 

金儲けに奔走することは好ましくないですが、

貧乏による不自由さも同様に、

自己実現に対して大きな壁として立ちはだかります。

 

自分に必要な時間と必要最低限の資産のバランスを保つことが、

大切なことです。

 

4.学びとの向き合い方

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何かを学ぶ姿勢として人によってやり方は様々だと思います。

しかし、ハトマン氏は「より多く」よりも「より深く」という視点を重視しています。

学びについての押さえるべきポイントは以下の3点です。

 

目的と対象を絞る

一人の人間のスペックは限られています。

多くのことを身に付けようとすることは、時間の精力の浪費につながるのです。

 

多くのことをするよりも、1つのことに集中する方が、

人間の満足は高くなると言われています。

 

また、1つのことを極めることで、

他の多くこともそれに関連付けて考えることができるようになるはずです。

 

「雑学」ではなく「知識」の習得

「雑学」とは、首尾一貫していない無秩序な情報の集積。

「知識」とは、本質的な関連があり構造化されたもの。

 

両者のうち、学ぶべきは「知識」です。

「雑学」では、自分の人生で実用的活かすことのできる学びを得ることはできません。

 

ついつい多くのことを身に付けたいと思ってしまう人は、

特に注意が必要です。

 

忘れることの大切さ 

記憶すべきものは記憶し、

忘れるべきものは忘れることができるというのは、

人間にだけ与えられた特権です。

 

日々の暮らしの中で、僕らは膨大な情報を受け取りますが、

それらで脳がパンクしないのは、

無意識のうちに興味関心の取捨選択をしているからです。

 

逆に言うと、

  • 何をやっていいかわからない。
  • やりたいことが見つからない。

という人は、1日を振り返ってどんなことが自分の記憶に残っているか。

ということを振り返るとヒントが見つかるかもしれません。

 

5.人間関係との向き合い方 

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人間関係において大切なことは、

友人や家族と過ごす時間と一人で孤独でいる時間のバランスです。

 

孤独を大切にする

何かにやりぬく、やり遂げるためには、

一人で黙々と集中して孤独になる必要があります。

 

誰かと一緒にいたい、つながっていたいと思うのは、

人の心理ですが、時にはその心情を断ち切る必要もなります。

 

大切なのは、それを認めてくれる人間関係を築くことです。

 

高め合える友人を持つ

自分にとっての夢や目標を理解してくれる。

また、同じ目標を持っている友人をもつことは、

自分の成長を加速させてくれます。

 

しかし、友人の数も多ければ多いほど良い。

ということではなく、人数は少なくても

お互いを高め合える深い関係性がある友人が数人持つ方が、

意味のあることです。

 

理解し合える夫婦関係を築く

結婚が成功か失敗か。

それがわかるのは、結婚してから半世紀先だともいわれています。

 

しかし、少なくとも

お互いが自己実現に向けてやるべきことを、

認め合い、干渉しあわない関係性が大切です。

 

夫婦になって家族としての時間を共有しあう時、

両者が持つ「自分の時間」をどうやって折り合いをつけつつ、

持ち合うかを話し合うことも大事なことです。

 

考察

今回紹介したハトマン氏の『知的生活』は1873年に刊行された本です。

その当時は、ごく一部の限られた資産家や哲学者だけの悩みだったようなものが、

現代は資本主義や情報テクノロジーの発達によって、

ごく一般の多くの人の悩みになっているように思えます。

 

そんな時代を過ごす人生において大事なことは、

猪突猛進に努力することよりも、

 

  1. あえて考えないこと
  2. 無駄な時間を過ごすこと
  3. 忘れること

 

こんな「余白」なのかな?と感じました。