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30代ビジネスマンの備忘録。 マネジメントやマーケティングに関するビジネススキルや、サウナ、ウィスキー、時計などの趣味について。

ギャルな部下に手を焼きながら指導して学んだこと。

f:id:seiburo:20200423143122j:plain マネージャーという職務をしていると、

様々なタイプの部下と仕事をしなければいけません。

 

現在も小売業の現場で、

50名ほどの部下のマネジメントをしています。

 

実際に仕事をやっていて大事だと思うことは、

 

・どうやって仕事を前に進めるか?

よりも

・どうやって仕事を止めないか?

 

ということだと実感しています。

 

その理由は、マネジメントがしっかり行き届いていれば、

部下が自然と仕事は進めてくれるからです。

 

しかし、停滞が発生してしまった場合は、

部下が自主的に立ち直って仕事を進めるという状況にはなりにくいのです。

 

だから、自分が入り込むことで、「停滞を解消する」というメンテナンスの役割が重要だと思っています。

 

 

年下リーダーへの不満

f:id:seiburo:20200423144416j:plain 先日もある売場で「人間関係のもつれ」による停滞が発生していました。

 

その売場では、最近昇格したばかりのSさんがリーダーを務めています。

 

彼女はいわゆるギャル系の派手な見た目で、

気も強そうな印象なのですが、仕事に対してはとても熱意があります。

 

その熱意を買われた形で、

売場の中では20代前半と最年少ながらリーダーのポジションを与えられたばかりでした。

 

しかし、メンバーからはこんな声が聞こえてきました。

  • 年下のクセにタメ口の指示が生意気。
  • 次々と指示を出してきて、人使いが荒い。
  • 髪が明るすぎるし、化粧も派手すぎる。

 

チームのメンバーは全員30代前後の女性で、Sさんより全員年上です。

 

普段は真面目で大人しめの彼女たちが、

そんな事を口にすること自体、かなりのストレスを抱えていることを感じました。

 

明らかに、お互いにとって酷な人事であることは明白で、

(マネジメントを任されている僕にとっても)

人事部の采配を恨みました。

 

しかし、組織で働いている以上、人事を言い訳にはできません。

この状況は、放置しておくと売上にも影響しかねない悪い予感がしました。

 

1on1ミーティング 

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「新担当での目標設定」という名目で、

Sさんと面談の時間を設けました。

 

僕が口を開こうとすると、

彼女の方からマシンガントークが飛び込んできました。

 

「ねぇっ、マネージャー!

下の人から告げ口されたんですか?

何か私に言いたいことあるなら直接言え!って感じですよね。

で、何がいけないんですか?

マネージャーも私に、チャラいとか、調子乗ってるとか、

説教したいんですか?」

 

 

呼び出した理由の図星を突かれ、僕も面食らってしまいましたが、

そのようなつもりはないことを伝え、

なんとか彼女からも話を聞くことができました。

 

彼女の考えていることは、

こんなことでした。

 

  • チームで一番年下の自分がリーダーをしていることに、周りが不満を抱いているのは感じるし、自分もそれは不安。
  • チームのメンバーの働きは、イマイチだと感じる。一番仕事のデキる自分が、しっかりしなければいけないというプレッシャーがある。
  • 立場が上がったのだから、ある程度自分のしたいような髪型や化粧をすることは認めてほしい。

 

僕が感じたこと 

 

そこで、僕が感じたことを1つだけ伝えました。

「事実と感情を分ける」ということです。

 

  • チームメンバーがSさんを見る目線。
  • Sさんがチームメンバーを見る目線。

 

どちらも、「事実」と「感情」が混在してしまって、

大切なことが見えてこない。ということです。

 

チームメンバーからの目線

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Sさんは、周囲のメンバーが自分に対してどんなことを思っているかある程度わかっていたので、僕は聞いていた内容を着色せず「そのまま」伝えました。

(わかっていたというのは、それはそれで彼女も辛かっただろうな。と思いました。)

 

しかし、Sさんが周囲から言われている内容には、

「事実」と「感情」が入り混じっているということを伝えました。

 

  • 「年下のリーダー」
  • 「口調がキツい」
  • 「見た目が派手」

というのは「事実」。

 

  • 「生意気だ」
  • 「調子に乗っててむかつく」
  • 「チャラそう」

というのは「感情」。

 

そして、この「事実」に対する理解は間違っている。

「事実」に対する正しい認識を周りにも理解してもらえば、

間違った形の理解はなくなるんじゃないか?

ということです。

 

例えば、

・最年少のリーダーになるまでに努力してきたプロセスを知ってもらう。

⇒「そこまでの努力をしてきからリーダーになれたんだな」と認識してもらう。

 

・自分の考えている長期的な目標や考えを理解してもらう。

⇒「だから、今この仕事をしなくちゃいけないのか」と認識してもらう。

 

・見た目が派手。というのは、個人の自由なので本人に任せることにします笑

 

ただ、Sさんのやりたいことが正しく伝われば、ポジティブな個性として認識されるはずだよ。とだけ伝えました。

 

 

Sさん自身の目線

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Sさんは、実力が認められてリーダーになったことは事実。

でも、だからといってSさんがチームの誰よりもすべての能力が高い。

ということにはならないと伝えました。

 

リーダーになったことで、

年上のメンバーがあなたに敬語を使うようになったかもしれないけど、

それはあなたが「優れているから」ではなく、

単に「リーダーというポジションになったから」なんだと。

 

自分が仕事の中で能力を発揮しきれない部分を、

誰かに補ってもらわなくちゃいけない場面もあるかもしれないし、

もしかしたら、自分より優秀な後輩が入ってくるかもしれない。

 

そうした時に、自分の仕事の幅を狭めてしまうような働き方は、

もったいないよね。とチームメンバーの思いの代弁もしました。

 

最後に

プライドの高いSさんは僕の話に対して、

かなり不満そうな表情を浮かべていましたが、

 

「はーい。わかりましたー。」

 

と間延びした返事で部屋を出ていきました。

 

本当はもっと彼女側の気持ちに立って、

話をじっくり聞くべきか?とも迷いましたが、

やはり、実際の状況を見極めた上で、

社内でも自分に近い立場より遠い立場を守るべき。

という思いから、今回はあえてメンバー側寄りの立場で話をしました。

 

「他人は変えることはできない。」

 

という言葉がある通り、

その後、Sさんが急変するということはありませんでした。

 

でも、自分なりに消化した部分もあったのか、

香水が少しだけキツくなくなったのと、

メンバーへの指示がややお願い口調になったくらいの変化は見えました。

 

チームメンバーからも、そこまで不満の声も聞くことは減りましたが、

ケアは忘れないようにしなければいけません。

 

ちなみに、その後1週間程度の期間、僕がSさんに少し距離を置かれるようになってしまったことは、自分のコーチングスキルの不足にまだまだ課題を感じました。