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30代ビジネスマンの備忘録。 マネジメントやマーケティングに関するビジネススキルや、サウナ、ウィスキー、時計などの趣味について。

「Yappli(ヤプリ)」から学ぶノーコードアプリ開発ビジネスモデルの可能性。

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「Yappli(ヤプリ)」から学ぶノーコードアプリ開発ビジネスモデルの可能性。

「ノーコード」

プログラミング技術なしにアプリを開発できるという意味のこの言葉が世の中的に浸透してきていると感じる昨今、ノーコードサービスを提供している企業の中でも注目を集めているのが、「Yappli(ヤプリ)」です。

 

東証マザーズ上場へー評価額は345億円規模で11月13日、東京証券取引所への新規上場申請を実施し承認されたことの発表は記憶に新しいです。

 

今回の記事では、そんな注目度の高い「Yappli(ヤプリ)」について、そのビジネスモデルを分析していきたいと思います。

 

「Yappli(ヤプリ)」とは?

 

創業は2013年4月の創業。

 

店舗やEコマースなどのマーケティング支援から、社内や取引先とのコミュニケーションをモバイルで刷新する社内DX(デジタルトランスフォーメーション)、バックオフィスや学校法人の支援まで、幅広い業界の課題解決に活用されています。

 

ここ数年から大きく成長軌道に乗り、導入企業も大手を中心に450社を超え、累計ダウンロード数も3500万件を突破しています。

 

顧客企業については、初期はアパレルブランドが中心だったものが、近年は青山学院大学を始めとする教育機関に採用されたり、メーカーが全国の取引先に商品カタログを提供するためのBtoBアプリに採用されたりするケースも増加。

 

「Yappli(ヤプリ)」のビジネスフレームワーク分析

 

  1. 「ターゲット」⇒顧客
  2. 「バリュー」⇒提供価値
  3. 「ケイパビリティ」⇒リソース・オペレーション
  4. 「収益モデル」⇒プロフィット

 

この4つの切り口から分析を行っていきます。

 

ターゲット

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ターゲットは、主に2者です。

 

①スーパーに飲食店、商業施設等、流通・小売系に向けたマーケティング支援の領域。

 

・店舗やECの集客

・オウンドメディアの作成

 

そのようなマーケティング施策でアプリを使いたいというニーズに応えています。

 

②ビジネス支援の領域。

 

・社内の広報誌をアプリによる代替

・社内研修や教育動画をアプリで提供

 

このような社内のインナーコミュニケーション用ツールとしてのニーズにも応えています。

 

一方、現在のようなターゲティングにたどり着くまでの苦労について、社長の庵原氏はいかのように語っています。

 

「サービスをグロースさせる際には、なにが正しいのかわからなかったので、とにかくいろいろな施策を試して、いろいろな業界に展開してきました。ヤプリは水平型のサービスなので、特定の業界の特定の課題を解決するサービスではありません。一方で、コアな顧客ゾーンは必要で、どこかの業界に刺さらなければならない。だから、とにかく当たってみてダメなら次、また次……と挑戦したようなイメージです」

https://media.startup-db.com/interview/yappli

 

バリュー

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「感動体験の提供」

 

Yappli(ヤプリ)社の定義する自社バリューにおいて、最も重要視されているのが、「感動体験の提供」です。その言葉の意味を、社長である庵原氏の考え方を引用します。

 

「アプリをみんなが使う理由はユーザー体験に感動するから。Webよりもサクサク見れたり、リアルタイムで写真を加工できたり、即座にタクシーを呼べたり。こういった素晴らしいデジタル体験によって、アプリがここまで大きな存在になった理由だと思っています。

 

僕たち自身も創業前にスノーボードのアプリを作った時、これまでのWeb開発では実現できなかった新しいユーザー体験に感動しました。アプリの事業をやることに決めて、困難な時もYappliを諦めなかったのは創業メンバーの僕や佐野、黒田がアプリが生み出すデジタル体験に感動していたから。だからこそ特にプロダクト開発において「感動体験を提供すること」は最重視していきたいと考えています。」

https://www.wantedly.com/companies/yappli/post_articles/129212

 

ケイパビリティ

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誰もアプリが作れる

ノーコード(プログラミング不要)でアプリケーション開発のハードルを下げていることが最大の特徴です。

 

・非エンジニアの能力を拡張し、想像力を高め、アイデアを実現させることができる

・組織にスピードを与え、ユーザードリブンなプロジェクト推進を可能にする

 

こんなメリットが考えられます。

 

スピード感

Yappliは、約1週間というスピード感で自社アプリをつくれます。リリース後にデザインを替えたりクーポンを配信するのも1分かからず、やりたい施策を即座に実行してPDCAを回せることが最大の強みです。

 

このように、スクラッチでコードを半年かけて書くよりも、効率良く開発するアジャイルアプローチを望むニーズは今後、加速していくと予想できます。

 

多彩な機能

ポイントカードやフォトフレーム機能、顧客属性に沿ったプッシュ通知など、アプリならではの機能があります。

創業時は10個程度だった機能も、顧客とのコミュニケーションを通じて250個以上まで増加しています。

 

ビジネスモデル

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「SaaS」

 

SaaSとは、「Software as a Service(サービスとしてのソフトウェア)」の略。

 

クラウドで提供されるソフトウェアのことを指します。ユーザー側にソフトウェアをインストールするのではなく、ベンダー(プロバイダ)側でソフトウェアを稼働させ、ユーザーはネットワーク経由でソフトウェアの機能性を活用します。これまでパッケージ製品として売られていたものがインターネット経由で利用できるビジネスモデルです。

 

まとめ

「Yappli(ヤプリ)」が創業をした2013年当時は、アプリというとおもちゃのようなエンタメ要素の強いものが中心で、ビジネスで活用されるという考え方は世の中的にも浸透していませんでした。

 

しかし、「Yappli(ヤプリ)」が将来のビジネスの可能性を見据えて業界を問わず、誰もが使えるビジネス向けアプリ開発という先進的な事業に取り組みに対して、ようやく時代が追い付いてきていると思います。

 

それはまさに、先見の明とタイミングと長い下積み期間の掛け合わせがもたらしたのだと言えます。