seiblog

30代ビジネスマンの備忘録。 マネジメントやマーケティングに関するビジネススキルや、サウナ、ウィスキー、時計などの趣味について。

『DIE WITH ZERO』から学ぶ賢いキリギリス的資産形成の3つのルール。

f:id:seiburo:20201203101459j:plain

『DIE WITH ZERO』から学ぶ賢いキリギリス的資産形成の3つのルール。

 

「アリとキリギリス」

コツコツ勤勉に働いて冬を乗り越えられたアリと、ずっと自由に遊んでいて冬を越える準備を怠って悲惨な末路を迎えてしまうキリギリスの対照的な姿を描く有名な童話です。

 

この童話が示唆することは、「まじめに努力すれば報われる」というものですが、これを僕らの人生に当てはめた時、そこに1つの疑問が残ります。

 

「死ぬまで一生コツコツと働き続けることは、果たして幸せなのか?いつ、楽しい時間を過ごすのか?」という問いです。

 

多くの人が望む人生とは、労働によって経済的な豊かさを手に入れて生きるだけではなく、それ以上の「豊かさ」や「充足感」を手に入れることではないでしょうか?

 

そんな本当の意味での「豊かさ」を手に入れるには、どうすべきか?

それについて、資産形成という側面からアドバイスをしてくれるのが、今回の記事でご紹介する『DIE WITH ZERO』という1冊の書籍です。

 

本書の主張は、「資産を使い切って死ね。」という大胆なものです。しかし、これはあくまで無闇な浪費を推奨することではなく、アリ的な勤勉さと、キリギリス的な遊びのバランスを保ちながら、賢くお金を使っていくことについて触れられています。

 

その中でも、ここから著者が考えるお金のルールに関するポイントを3つに絞ってご紹介したいと思います。

 

3つのお金のルール 

「今しかできない」経験に投資する。

f:id:seiburo:20201203101525j:plain

「お金を無駄にすることを恐れて機会を逃すのはナンセンス。」

 

これは、何か新しい挑戦をする為に十分なお金を得た時、既にそれができない年齢かもしれないというリスクに対する示唆です。

 

過去に戻って時間を取り戻すことはできません。

 

多くの人は、現状における自分の資産を守ることを大切にしてしまいがちですが、そこで得られたかもしれない貴重な経験をスキップしてしまうことは人生においては大きな損失であるという考え方もできます。

 

それは、つまり人生の充実度を高めるのは、「その時々相応しい経験」であると言えます。

その為に、大切なことは、自分が何をすれば幸せになるかを知り、その経験に惜しまずお金を使うということなのです。

 

死ぬ時は資産を残さない

f:id:seiburo:20201203101546j:plain

1950年代にノーベル経済学賞を受賞したフランコ・モディリアーニは、人生における最も幸福度が高く効率的なお金の使い方について「死ぬときに残高がちょうどゼロになるように消費行動をすべき」という見解を残しています。

 

しかし、いつ死ぬかなんてわからない。というのが世間一般的な考え方です。

 

それに対するモディリアーニ氏の答えは、「自分が可能な限り長寿をまっとうすることを前提に、1年あたりの消費額を決めておくべき」というものです。

 

特に日本人は「備えあれば憂いなし」の精神で、必要以上のお金をため込む傾向があります。しかし、それは人生の最後になって手つかずの大量の資産を残してしまう「アリ」的な生き方だとも言えます。

 

しかも、必要以上の資産を残すということは、「相続」などの二次的な問題にも発展します。

お金をため込んだ自分も十分な幸せを得ることができず、残された世代にも不幸を与える結果にもなりかねないという認識を持つことも必要だと感じます。

 

年齢に合わせて支出と貯蓄のバランスを最適化する

f:id:seiburo:20201203101601j:plain

一般的に支出と貯蓄のバランスは、8:2が黄金比であるという考え方が一般的です。

(収入全体の50%を生活費、30%が自由なお金、20%が貯蓄という内訳)

 

しかし、著者は本書の中で、20~30代において、前述した「今だけの経験」を手に入れる為には、収入の20%も貯蓄に回していては到底足りない。という主張をしています。

 

ムダ遣いを推奨する訳ではなく、個々人の持つ判断基準の中で、「大切にしたい」と思えるもの投資し貯蓄は10%程度に留めるということが最適であるというものです。

 

しかし、その分収入の増加が予想される40~50代においては、貯蓄の比率を20%まで引き上げることで、生きていく為には十分な資産形成が可能という考え方です。

 

まとめ

本書から感じたことは、お金の「使い道」に関してのリスク許容を広げるということの大切さです。

 

娯楽や快楽の為に浪費することも違いますし、無目的にお金をため込み続けることも違います。

 

自分がどう生きていきたいのか?その為に、それを実現する為に必要な投資はどのくらいなのか?それを認識した上で、大胆にリスクを取ってお金を使う。ということが、正しいお金の使い方だと感じました。

 

つまり、使ったお金が将来の自分の何につながるのか?という連続性の意識を持つということだとも言えます。

 

自分の人生における幸福感は収入でもなく、預金残高でもなく、「何をしているか?」にあるということの大切さを改めて感じました。