大企業におけるパワハラ認定の実状について考えた。
大企業におけるパワハラ認定の実状について考えた。
パワハラというワードも社会の中で、かなり定着してきており、ビジネスマンであればまだその言葉自体を聞いたことがないという人は皆無だろう。
コンプライアンス的な観点から「パラハラ防止」などという言葉が普及した背景を考えると、パワーで押さえつける管理型のマネジメントから脱却し、部下の自主性や主体性を重んじるマメジメントへの変化を推し進めようという企業経営の機運の高まりも感じることができる。
この背景において、これまで管理型マメジメントによって理不尽な扱いを受けたり、非効率的な業務を強制させられていた弱者を救済するという非常に大きな目的も含まれる。
しかし、実際はそのような弱者救済ではなく、強者にとって都合の良く社内における権威性を高める手段となってしまっているのが実状であると思っている。
そこに潜むのは、社内における様々な立場の人物たちの思惑からである。
主な登場人物は以下の3つのレイヤーに分かれる。
経営層
この構造において、最も強いのは①の経営層だ。
発生している事象がパワハラに当たるかどうか?は最終的に彼らが決める。
そして、それを決める際の最も大きな指標として、ある特定の人物をパワハラ認定することによって経営層自身にどんなメリット/デメリットがあるか?という損得勘定の要素が非常に強い側面があることだ。
ここに最も深刻な問題が潜んでいるのである。
つまり、経営層から気に入られている人間は、ある程度のパワハラの訴えがあっても、大きな問題にすらならないが、逆に彼らから見限られた人間であれば、ここぞとばかりにパワハラ問題を取りざたされて、すぐに処分が下される。
マネジメント層
そして、次に最も強いのが②のマメジメント層である。と思われがちである。
しかし、それは大きな間違いだと僕は思っている。逆に、パワハラ問題において最も発言力が弱いのが、この層であると感じる。
なぜなら、マネジメント層というのはパワハラの認定、決定権は待たないので、上の経営層を訴えるなどはもってのほかで、逆に自分が持つ部下からは、訴えられるリスクだけがあるという板挟み状態の立場だからだ。
パート・契約社員層
そして、一般的に最も立場が弱いと思われる③のパート・契約社員層は、僕の感覚値からすると、かなり手厚く守られてきており、発言力も強まっている印象だ。
ここで問題になるのは、本当にパワハラが存在しているかは、100%訴えている本人の感じ方に委ねられているという点だ。
誰が話を聞いても、明らかに理不尽なパワハラであると感じるケースもあれば、単に自分が楽をしたいだけの為に業務負荷を大袈裟に訴えてしまうケースもある。
実際に、身近で起きた様々な訴えを聞いていると、前者のケースはごくまれで、後者をナチュラルに行ってしまっているケースが最も多いように感じる。
ただ、どちらの場合でも、それがパワハラ認定されるケースもあれば、されないケースもある。それは、前述した経営層の思惑という最も厄介なフィルターが通されるからだ。
まとめ
僕が感じているパワハラにまつわる問題を大きくまとめると3点だ。
・経営層がパワハラ問題を自身の権威性を高める為の手段化している点。
・マネジメント層に対するセーフティネットが整備されていない点。
・パート・契約社員層は、訴えたもん勝ち状態になりつつある点。
これらの根本原因はまさに、各企業が定めるパワハラの認定基準の曖昧さにあると思う。
ただ他の多くの問題もそうであるように解決の為には、一朝一夕にはいかない。しっかりと時間をかけて事例の積み上げていくしかないと思う。それが、ある特定の判断が恣意的なものでないか?を見定める為の唯一の手段になると思う。